C. アプローチ

1、歩道(公道)との境界

  • バリアフリー住宅とは敷地内の全体のバリアフリーを忘れないことです。ただ、敷地の広さ形状によってはバリアフリーにならない部分もあると思います。まずは外出できるというコンセプトで言うと、敷地との境界に段差が生じないようにすべきですが、雨水を敷地外に流すためには多少の段差は必要ですので、敷地と歩道(公道)部分に以下のような小さなスロープをとり、車椅子が通り易いようにしたり、杖を付いた方がつまづかないような工夫が必要です。
敷地と公道の境
敷地と公道の境

左の図は一つのアイデアです。我が家の駐車場幅は6mくらいあり、車椅子がつまずくことなく敷地内に入る事が出来ます。


2、溝蓋・グリーチング

  • アプローチの通路面には原則として設置しないでほしい。やむを得ず設ける場合は、その主たる通行動線上に車椅子生活者、杖使用者などの通行に支障のないようなものを設置してください。(格子穴は長さ5cm以下、幅2cm以下)
      溝蓋
      溝蓋

 某福岡市営住宅の道路と敷地の境の画像です。3~4cmほどの段差があります。AからBまでの溝蓋はバリアフリー対応しています。BからCまでの溝蓋の所は段差が2~3cmあり、車椅子が通るためには、持ち上げなければ市道から敷地内に入ることは出来ません。

 

   グリーチング
   グリーチング

 上と同じ敷地内の市営住宅の出入り口付近のグリーチングで、車椅子の前輪も杖もグリーチングの穴に落ち込む心配のないタイプです。

 

  • 溝に前輪がはまると、危険であり、介助者もきつい。一旦はまると男性二人くらいの手助けが必要でしょう。

3、有効幅員

 家の出入りのための門から玄関までの通路の幅は80cm90cmくらいあれば、車椅子は通りますが、車椅子と人一人が並んで同時に通れる幅として130cm以上あった方がいいですね。車椅子である私の出入りは我が家の駐車場からするので、5m程あります。それに続く我が家のスロープ幅は130cm以下ですが、L型のスロープの真ん中が広いのでそこでのUターンができます。結局、アプローチにしてもスロープにしても、途中で引き返すこと(Uターン)が出来ればいいのです。ただ普通の住宅のスロープは短いし、玄関など広いところもあるのでUターンを考える事もないでしょう。


4、スロープの設置

  • 車椅子の場合、家へ入るための方法としてはスロープが一番無難だと思います。
  • スロープが難しい場合は、段差解消機や色んな機器を利用してください。

5、通路面の仕上げ

  • 飛び石のような凸凹は車椅子は通りませんので、滑りにくい材料を用い、平坦な仕上げとしてください。煉瓦をひいた通路も、煉瓦と煉瓦の間の凹の部分が車椅子に一定の細かい振動を与え、これがバリアになる。人によっては痙攣を引き起こす元になります。