設計

基本的には車椅子と寝たきりの介護を必要とする立場で家を設計する。
 普通の生活、車椅子での生活、寝たっきりになった時の生活の三種類の生活パターンを想定した住宅を考える。
 オランダでは、可変型住宅があるそうで、地方自治体がつくる賃貸住宅として採用されているそうです。将来、住人の身体が不自由になっても、必要に応じた改装が出来るように設計されているので、新たに高い資金をかける事なくすむそうです。普通の住宅も可変型住宅も建築費用は差ほどかからずに長い目で見ると可変型住宅のほうが安くすむそうです。つまり将来のことを予想して建てること。

 寝たっきりになった場合、ヘルパーさんらや介助者が腰痛などにならないような住宅とする。(介助者に優しい住宅が介護される側にも優しい住宅である)
寒冷地か温暖地域か、都会か地方か、その地域の環境に合わせる。

 富山県高岡市のバリアフリー住宅のモデルの資料を送ってもらいました。雪国ですから、豪雪対策がありました。あらためて雪国には雪国の生活があり、そこに住む車椅子生活者や高齢者の住宅に地域性があることを知らされました。私の住む福岡は夏暑く冬寒い地域です。その地域の気候風土にあった対応は必要です。
住宅の安全対策

 家の中での事故、火事、防犯(泥棒など)、緊急時の連絡を考えておく。

1、段差をなくす。

2、床を滑りにくくする。

3、手摺りを付ける。

4、色調や照明を工夫する。

5、暖房、冷房を工夫する。

6、緊急時の連絡は今は必要ないかもしれないが、防犯システム等を調べておく。

 私の住む福岡市は緊急通報システムを利用できる、(24時間対応、福祉課に申込む) 近所の知り合いを二人、協力員として登録する必要があり、大きな負担です。知り合いがいなくても済むようなシステムが出来たらいいと思います。また、民間でもあると思いますが、将来は民間・警察・消防・地域で緊急システムが出来たらいいのですが。

 

在宅介護の形態

・家族構成

  • 独身か夫婦だけか家族と共にか三世代同居、それぞれの形態がありますが、現在と将来の家族構成にも対応できたらよい。(誰が介護するのか)
  • 次の世代が住んで違和感のないようにする事も大切である。
  • 別のこととして、親が障害者の子供を世話する場合、開放的で明るい住宅を建てるといい。

●生活の中で気がついた事と提案

  • 寝室、リビング、台所をワンフロワーになるようにすると便利、寝室とリビングの間は段差のないフラッターレールの引き戸で分けられるようにする。
  • 前の家が、寝室とリビングは端と端で離れていて、ベッドに寝たときは枕元にコードレス電話を置いて、リビングの親機に内線で連絡できるようにしていました。たまに子機を枕元に置き忘れて、リビングにいる家族やヘルパーさんに連絡の取りようがありませんでした。その反省から寝室とリビングをドア一枚で隣どうしにして、リビングに誰かいれば声を出せば人を呼ぶことが出来ます。高齢者や障害者のプライバシーを守りつつも、家族の目の届く位置に部屋を確保した方がいいと思います。
  • リビング、寝室を板張にして、ベッドを置けるようにする。畳の生活は非常に便利です。リビングになったり、寝室になったり、客間になったりして、一つの部屋が自由に使えます。また、畳の温かさというのは捨てがたいものですが、いざ車椅子やベッドの生活を余儀なくされると、ベッドを置くためにも車椅子生活も板張の方がした方がいいでしょう。
  • 雨戸は電動式、電動でルーバー式の雨戸もあります。高齢者も障害者も力が弱い人がいます。電動式はその点便利です。
  • なるべくリモコンで出来るものはそれを利用する。将来はリモコンで色んな事が出来ればと願っています。私の場合ベッドに寝たきりの状態でも、カーテンを閉めたり、玄関ドアのロックとか、緊急にも対応できるリモコン装置が出来ることも願っています。
  • 室内の延長コード等は床を這うために、つまづくもとになるので、室内の電源プラグを多めに設置しておく。延長コードも1m位の短いのを利用しています。
  • フラッターレールの引き戸にすると、段差の解消になる。
  • ドア幅を広くする。(私の体験では85cm~90cm程度)
  • 部屋数を少なくして、一部屋を広くする。
  • 風呂場は段差のないものを作る。
  • 我が家の風呂場の洗い場は1.8m×1.6mで、車椅子もUターン出来るかなり広く取っ ています。メーカーは広めの風呂場の開発をお願いしたいものです。広さとしては畳一枚半がよいと思います。その場合、冬場寒いという欠点がありますので、天井を少し低くするとか工夫する。(冬場は風呂を熱めに沸かして、室内を暖かくしている)
  • 畳の部屋を将来、簡単にフローリングに出来るようにしておく。いわゆる可変型住宅の一つとして、こういうことが出来るかどうか分かりませんが、あったらいいなと思っています。
  • 一階に、リビング、夏冬の二つ部屋があるといいと思う。
  • 車椅子や座って炊事や料理が出来るキッチンは状況に合わせて設置する。その時でも介助者が使用できる流し台などは準備しておいた方がいいかも知れません。
  • 手摺りを付けるために、壁にはその準備をしておく。いわゆる可変型住宅の一つとしてあれば良いと思います。
  • ストーブを置く位置を決めて、その周辺に何も置かないように工夫する。納戸を作ったことと、引っ越しした時に不用品を捨てたことにより、部屋を広く使ってます。(部屋に倒れる物は殆どなかったので、福岡西方沖地震の時もテレビがずれただけで、被害はなかった。家の外壁にヒビは入ってしまった)