G. 玄関

 理想的には玄関も段差をなくすようにして、無理なく住宅内に入るようにするために、道路面と住宅内の床面の高低差にあった勾配のスロープを造り、基本的には車椅子も正面玄関から入れるようにしたいものです。しかし、日本の住宅事情を考えると、玄関が狭いとか段差がありすぎて、車椅子が入れない状況の場合は他の出入口を考えてください。

 電動の場合、車椅子の重さは全体で百kg以上超えるので、持ち上げて、住宅内に入れようとするのは殆ど不可能で、スロープや段差解消機などを利用して、玄関など高齢者や既障害者などが支障なく、容易に出入りできるように構造、幅員などを考える必要があります。

 ドアホンは当たり前の時代ですが、車椅子にとってドアホンのボタン高さは地面より80100cmの高さにする。

 

1、玄関ドア

  • メーカーの中にはバリアフリーの玄関開き戸を売り出しているようであるが、編者も見たことがなくコメントできないが、マンションのバリアフリー対応の玄関引き戸もあるようだ。段差のない玄関にする場合、色んな方法がある。
  • 多くの場合、開き戸であると思うが、車椅子使用者が開けるのは困難なので、引き戸を別の場所に併設するのもよいと思う。

2、床仕上げ

  • 玄関の内外は同一レベルとし、ぬれても滑りにくい仕上げとする。

3. 有効幅員

  • 出入口(戸)は85cmほどでいいと思います。
  • 車椅子にとって有効幅員は広い方がいいが、かえって広くすると玄関ドアは重くなるのでよくない。

4、玄関マット

  • 玄関の内外を同一レベルにするため埋込式とする。本当はない方がいい。

5、玄関内外の水平部の確保

  • 車椅子の回転が可能な直径140cm以上の水平部を設けておいた方がいいですよ。介助者がいる場合はプラス30cmの水平部が必要でしょう。
  • 回転できない場合は住宅の内外で回転できる場が有ればいい。

6、玄関内

  • 段差の高さに合わせた段差解消機かスロープを取り付け、その場所にはスリッパは置かない。
    玄関内段差解消機
    玄関内段差解消機
  • 玄関内段差解消機

松屋産業  

駆動方式 (エアー式)50cmまで

型式 HA-120

寸法 80.5×100cm

揚程 550cm

最大積載重量 120Kg

定価 定価 45万円~

※成人男性が車椅子に乗った場合、電動車椅子の種類によって本人体重を含め120Kg以上になります。本商品は最大積載量120Kgですが、実際は大人4人が乗っても大丈夫だそうです。

7、屋根・ひさし

  • 車椅子の出入り口には屋根またはひさしを設ける。絶対必要。

8、その他の屋外出入口

  • 敷地の形、公道からの高低差によっては玄関が狭い場合、スロープ、出入口などは別に設ける。
  • 非常時(殆どは火事)に備え玄関を含めもう一カ所の出入口、あるいは脱出できる出入口が必要でしょう。リビング、廊下など外に面しているところに常時の出入り口を作ってもいいでしょう。

9、その他

  • 外出時に車椅子のタイヤが汚れていることがあるので、車椅子の出入りする玄関近くに水道と雑巾の準備があれば助かります。